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節分記念のお話を拍手お礼小説としてupしましたー。
鬼…鬼…と考えていたら、ふと若にとって侍って鬼(=外からやってきて平穏を壊すもの)以外の何者でもないよなぁと思い立ち、こんなお話となりました。
それと、禿(特に若い禿や新入りの禿)ってとっても弱い立場なイメージがありまして。若の配下の用心棒たちに無理難題を毎度ふっかけられていそうなイメージがあるので、その逆襲もさせてやりたいなぁなんてこともふと思ってしまい。
まぁ、どこにも、用心棒たちが禿を苛めていたりする証拠はないんですが。(笑)
でも、やっぱり日々の鬱憤って弱いところにいくよなぁと思ったら貧乏籤を引かされるのって禿だよなぁと思いこんな形に。
書き上げてみたら、何とも奇妙なお話となってしまいました。(苦笑;

そして昨日、変更前にも関わらずパチパチしてくださった方!!
本当にありがとうございますv


そして、『鬼』と言ったらやっぱりこれはどうしても書いておきたくて書いちゃいました。季節ネタはその時期逃がすと駄目だよなぁということで別室作りが済んでいないのでとりあえず、こちらにup。
以下、リンク先に市赤市小噺です。

 ふっと、空気が変質した。
 市川は傍らに置いてあった黒眼鏡を手に取り、慣れた動作で耳にかける。
 くい、と眉間でフレーム中央を押し上げたところで、出入りに使う襖がカラリと滑る音がした。

「市川さん。」
「何だ、また来たのか。」

 そう言って、どれだけ邪険に扱おうとお構いなしに市川の家を訪れる赤木を捉えようと手を伸ばせば、赤木は心得たようにその手に己の頬を載せる。
 いつものように、その頬に指を滑らせたところで微かに鉄臭い匂いが鼻についた。それも、まだ出来たばかりの新鮮な匂い。匂いの元を手繰ってゆっくりと指を動かせば、指の腹の下で皮膚がほんのわずかだが引きつる感覚があった。指の腹にぬるりとした液体が広がっていくのを感じる。

「ここか。」
「…。」
「珍しいな赤木、お前がその綺麗な顔に傷をつけるなんざ。」

 市川の軽口に綺麗な顔って何さと赤木は心底おかしそうにククッと喉元だけで笑うと、市川の指を傷口から剥がし、そして血に濡れた指を口に含んだ。口中に己の血の味が広がる。

「意外と鋭いんだね。」
「匂いでわかる。」
「そうじゃなくって。」

 ひっかいたとは思ったけど、血が出てるとは思っていなかったと赤木は呟いた。市川はさらりとしゃぶられるままの指を引き抜いた。赤木が小さくあ、と声をあげる。

「で?どこでやったんだ。」
「すぐそこ。表から庭に回った時じゃないかなぁ。」

 普段、市川の家の玄関は鍵をかけて閉め切ったままだ。用件のあるものは皆、玄関から低い植え込みと壁の隙間を抜けて庭へと回り、庭に面した和室に声をかける。市川は大抵、そこにいるからだ。油断したみたい、と赤木が小さく笑う。

「油断?」
「そ。まさか、あんなところに柊の葉があるなんて思わなくて。」

 いつもの感覚で植え込みと壁の間に身体を滑らせようとしたら、頬に軽い痛みが走った。赤木の言葉に柊?と軽く考えていた様子の市川はすぐにああ、と納得した声をあげた。

「今日は節分か。」

 道理で、いつもより早めに用意された夕餉は焼いた鰯だった。好きでもないが、嫌いでもない、そんなものだったから、何故鰯なのかと問うこともしなかった。頭はどうだったかなど覚えていない。市川も聞かないし、聞かれたこと以外喋らないよう組から言われているあの女中が、今日は節分だということをわざわざ告げることはしない。わざわざ柊の葉まで用意してくれているとは思わなかった。

「あれ、危ないよ市川さん。」
「俺がやったんじゃねぇ。」
 お前さんの注意力が足りんのさ、と言って市川は見えない目を細めた。ふぅん、と呟いた赤木の吐息が耳にかかる。
 
「ま、次からはもうこんなヘマはしないけどね。」

 邪気を払い、鬼を寄せぬための柊をやすやすと乗り越えてきた子鬼は、市川にまたがったままそう不敵に微笑むとくん、と市川の髪を引いた。




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