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昨夜は冬至でしたね!(そういえば南瓜の煮物を食べた)
お風呂に入って初めて気付きました…。
1日遅れですが、冬至=柚子湯ということで小噺を書いてみました。
これ、こういうのをやってくれそうなのはシチさんなイメージなんですが、昨夜の絵茶できゅっごきゅごにされたので(ご一緒してくださった皆様、大変お世話になりました!ありがとうございます!!)、
95です。
続きに収納しております。
このまま、商人全体の妄想をしていたら、なんともまた胸が痛くなることに気付いたので、そちらは次の日記で。

冬至の夜 (95編)


「お、ちゃんとつかっているな。感心感心。」

 湯船につかるキュウゾウを発見すると、ヒョーゴは皮肉げな笑みを浮かべ、そのまま手にしたものを湯船に落とし始めた。

 先に湯船に浸かって待っていろというヒョーゴの命に従って、その身を沈めていたキュウゾウはボチャンボチャンと投げ込まれるそれをじっと見つめた。
 たちまち、柚子の香りが立ち込め始める。いい香りだろうキュウゾウ、というヒョーゴの言葉によくわからなかったが頷いていたほうがいい気がして、キュウゾウは黙って頷いた。
 そんなキュウゾウを見て、ヒョーゴも満足げに頷く。

「今夜は冬至だからな。」

 やはり冬至はこれだろう、と、ヒョーゴはそれだけ言うとさっさと洗い場に戻って身体を洗いはじめてしまった。

「…ヒョーゴ。」
「何だ。」

 ザバンと湯が流れる。
 頭から湯をかけ、ふぅとヒョーゴは顔を拭った。
 じっとこちらを見ているキュウゾウにヒョーゴはわずかに眉を寄せた。

「何だ、キュウゾウ。どうした。」
「あとどれくらいかかる。」
「は?どれくらい?」
「あまり長いとのぼせる。」
「…のぼせる前にあがったらよかろう。」

 何を言っているのだと言うとヒョーゴは身体を洗うのを再開した。
 そんなヒョーゴにキュウゾウが軽くむっとした声をかける。

「お前が、待っていろっていった。」
「そりゃ、待っていろと言わないとお前さっさとあがってしまうだろうが。」
 柚子湯にする前に、と言うとヒョーゴははた、と動きを止めた。
「お前、もしや変な勘違いしているんじゃないだろうな。」
「勘違い?」
「俺はお前と一緒に湯船にはつからんぞ。」

 ヒョーゴの言葉に何だと、とキュウゾウの目がわずかに見開かれた。

「当たり前だろう。何が楽しくてお前と2人湯船につからなければならんのだ。…第一、狭いだろうが。」
 そう言うと、身体に湯をかける。湯と共に流れていく泡を目で追っていたキュウゾウはへりに立ち交代だと告げるヒョーゴにぽそっと告げた。

「…何だ。」
「うん?」
「てっきり誘っているのかと」
 思ったんだが、というとヒョーゴの腕をぐいとひいた。咄嗟のことで反応が遅れヒョーゴの身体が前につんのめる。

「こらっ…キュウゾウ!」
「…。」

 キュウゾウは黙って目前に迫った胸元に吸い付いた。鼻先に、柚子の匂いが漂う。
 だが、すぐにひきはがされる。そして頭を力いっぱいはたかれる。
 私室以外でこういう行為に及ぶとヒョーゴは必ず怒る。
 今も、羞恥と怒りで心なし目元を赤くしたヒョーゴにキュウゾウはにっと笑った。

 結局、立ったままでは寒いので、ヒョーゴは諦めて向かい合う形で湯船につかる。大の男2人が入った湯船は、やはりちょっと狭く感じる。2人の間にはプカプカと柚子がいくつも浮かんでいる。
 
「ヒョーゴ。」
「あぁ?」
「いい香りだ。」
「そりゃこれだけ入っていればな。」
「いや。」

 柚子を持って訝しげな顔をするヒョーゴに、キュウゾウはそれだけ言って身体を前に倒すと、そっと口付ける。ちゅ、と音を立ててすぐに離れれば、直後、ヒョーゴは手にした柚子を投げつけてきた。
 キュウゾウはくつくつと笑いながら同じように柚子を投げ返したのだった。





お風呂で暴れてはいけません。
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