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出来なかったのが今更ながら悔やまれたので、お侍の方は去年の十五夜・十三夜記念の拍手お礼小説のlogを、fkmtの方は突発で書いてみました。

これ誰だよ!!ないつにもましてドリィ夢五割り増しな小噺となっておりますが、それでもよろしい方は続きからどうぞです!!


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 ひたり、と肌をかすめた冷気に赤木は軽く身じろぎ、手を伸ばす。いつものように傍らの人物から暖を取ろうとして―――いくら手を伸ばしてもその先には何もないことに気付き、赤木は勢いよく目を開けた。
「…市川さん?」
 小さく隣で寝ていたはずの人物の名を呼ぶ。だが、返事はない。障子越しに灰色の明かりが差し込むばかりの部屋は、薄暗くすぐ目の前の対象を捕えるのすら難渋する。手探りで触れたシーツは、ひんやりと冷えきっていた。そして、ようやく慣れてきた目で辺りを見渡せば、市川の肌掛け布団は綺麗に半分に畳まれていた。
 厠か、と思いしょうがないと冷えた身体に布団をかぶり直したところで赤木は違う、と気付いた。コチコチ、と柱時計を刻む音がやけに大きく響く。ピッチリと閉められた襖は開く気配を見せず、その襖の向こうからは物音ひとつしてこない。
「市川さん。」
 もう一度名を呼ぶ。その間にも、柱時計はコチコチと時を刻んでいく。普段なら、気にもならないこの時計の音が今夜はやけに耳につく。柱時計が1つボーン、と大きく音を立てる。思わずびくりと赤木の肩が揺れる。
 午前1時。
 まだこんな時間か、という思いとこんな時間に市川さんは一体何処にいるんだという思いが赤木の頭を占める。その時。

 ―――ことっ。

 柔らかで軽やかな音が、静寂を割った。










「何だ…寝てたんじゃなかったのかね。」
「…市川さんこそ。」

 赤木の問いかけに儂はこれからが本番よ、とくっ、と小さく笑うと市川は胡坐を組みなおした。そして、脇のとっくりからお猪口へと酒を注ぐ。プン、と日本酒独特の匂いが立ち込める。だがそれもすぐに秋の風が散らしていく。適当に前を合わせただけの浴衣では、秋の夜風はいささか寒い。赤木は小さく鼻を鳴らして乱雑に浴衣の前を引っ張った。ふわりと市川の髪が揺れる。それを見ながら、赤木はへくちっ、と小さくくしゃみをした。
 そのくしゃみに市川は、軽く前かがみになって、クツクツと肩を揺らした。お猪口を持ったまま。だが、赤木の予想に反して、水面は波紋を描くばかりでこぼれはしない。

「やれやれ。風邪ひかれちゃあ面倒だ。とっとと中に戻りな。」
「…市川さんは。」
「こっちはまだお楽しみ中だ。」

 そう言うと、手に持つお猪口を覗き込む。赤木もしゃがみこんですぐ脇から覗き込む。すかり高くなった月が映りこんでいた。まるで銀色の膜が張られたようだ。
 市川はそれをじっと見つめたかと思うと一気に流し込んだ。そして、そっと空を仰ぐ。見えない目で何を視ようというのか。
 赤木は、そっと市川の胡坐をかいている足の上に上半身を横たえ、腰に手を回した。ズルズルと寝所から引きずってきたかけ布団がバサリと音をたてる。板間に置き去りの下半身はくの字に曲げ、市川の腹に己の頭を押し付ける。日本酒を呑んでいるからなのか、赤木の身体が冷えきっているからなのか、温かい。

「何だ?邪魔くせぇな赤木。」
「暖だよ。」
「暖?」
「そんな浴衣一枚じゃあ、市川さん寒いかと思って。」
「そりゃお前さんだろう。」

 市川の手が赤木の頭をぺシっと叩く。だが、そう言いつつも引き剥がしはしない。ただ、見えない目で赤木が適当にかけた布団をかけなおす。

「まったく、お前さんがいるとおちおち月見酒も出来ねえな。」
「俺も呑みたいな。」
「やらん。」
「…ちょっとくらいいいじゃない。」
「やらん。」
「……ケチ。」
「ほざいてろ。」
「…。」
「…。」
「…。」
「寝るなよ小僧。」
「…何で。」
「後々面倒だからだ。」
「ふぅん?」

 赤木はそう言って、市川の手に付いた日本酒を舐める。たちまち、市川の指が赤木の頬をつねる。痛いな、と小さく笑う赤木の上で、市川がふん、と息を吐くのがわかった。







過ぎてしまったんですが、十五夜記念ということで…。ドリィ夢度は普段の5割増しとなっております。と再度自己申告。
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