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焼き魚小噺(市赤市編)です。
もう本当にしげる(13)は、生活に必要な作法とか全部市川さんに教わったらいいよ妄想が止まりません。
箸の使い方から床(…)でのことまでそれこそ全部な!!


そして、昨日に引き続き拍手ありがとうございました!!
拍手いただけるとホント…嬉しくてどうしようかと思います。
拍手お礼用の話が全然書けなくて、中が空の状態で置いておくのって失礼かな、新しいの書けるまでいっそ外そうかな、とも思っていたんですが、こうやっていただけるとやっぱり嬉しいので外すのが惜しくなります。
こちらも頑張ります。
押してくださった方、ありがとうございましたv

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「何だ、結局面倒見ているんじゃない。」

 背面から聞こえてきた声に、市川は赤木か、と呟くと持っていた皿をそっと地面においた。残った飯に同じく残った味噌汁をかけ、煮干をちらした猫飯だ。早速、にゃーんと庭にいる猫が声をあげて近づく。

「戦前戦中派は、食い物を無駄にしないのさ。」

 そう言うと、市川は振り返り、赤木の顔を見据えた。正確には、顔のある辺りを。







「焼き魚を食べるのは苦手か?」
「…何で?」
「さっきからしょっちゅう、取りこぼした骨を口から出しているだろうが。」

 市川の言葉に相変わらずよく見えてるね、と赤木は呟くとそっと取り出した小骨を皿の脇に置いた。目が見えて骨の在り処がわかるはずの赤木の方が、市川よりも魚の食べ方はどう見ても下手くそだった。市川の綺麗に身と骨が分けられた皿を見て赤木は淡々と呟いた。

「骨のあるものなんて食べるんだね。」
「…どういう意味だ。」
「アンタたちって魚は刺身しか食べないのかと思ってた。」

 市川のような盲目の人間が、ということなのか、市川が代打ちとして所属していたような組の人間は、ということなのか、はたまた両方なのか、赤木の口調からはわからなかったが、市川はふんと笑うと骨を除け、その身を箸で器用につまむ。

「何、儂は焼き魚が好きなだけさ。」

 見えないからというだけで、それまで好んできたものを捨てたり諦めるのは、それこそ不合理だ、と言うと市川は一旦箸を置き湯のみを取った。
 ふーん、と言うと赤木はふと思い出したように市川に声をかけた。

「いつからああやって餌やってるの?」

 あんなに頑なにあげようとしなかったのに、と言うと市川はそこで渋面を作った。久々に見るその顔を見て、赤木は思わず笑いそうになった。

「元はと言えばお前さんのせいだろうが。」
「俺?」
「儂に隠れて何度か何かくれてやったろう。」

 そう言えばそうかもしれない。記憶をたどる赤木を他所に市川は再びふん、と息を吐くとああいうのは一度やると次ももらえるもんと思うから、迂闊に食わしちゃいけねぇんだと、苦々しげに呟いた。
 それは勝手なことをした赤木を責めると言うよりは、振り返って己自身を責めているようで赤木は市川に気取られぬようにひっそりと笑みを零した。

「いつもあんなちゃんとしたものあげてるの?」
 赤木の声に市川は益々渋面を濃くした。
「…ここ最近は、飯が余っちまってたからな。」

 普段はそうたいしたもんはやってはいない、という市川の言葉にじゃあ、と赤木は見えないとわかっていても魚の頭を箸で掴むと、ぶらんと中骨を市川の眼前にぶら下げた。

「明日の飯はこれで我慢してもらえばいいよね。」
「…赤木よ。」
「どうせこの骨も、くれてやるつもりだったんでしょ?」

 そう言うと赤木はフッと笑った。

 多めに炊かれた飯も、鍋いっぱいの煮物も、味噌汁も。老人の1人暮らしを賄うには多すぎる。日をまたぐにしても、日持ちの限度を超えている。

「だって、そもそもあの飯は俺のものじゃないか。」

 そうでしょ?そう言って不敵に笑う赤木に市川はほざいてろ、とだけ言ってあとは黙って箸を動かす。赤木はククっと笑うと、そっと骨を下ろして同じように箸を動かしたのだった。






勝手気ままなしげるに、飯炊き部隊はいつだって困惑です。(爆)
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