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今夜は我が家も拍手お礼小説同様、ちらし寿司でした。
ちなみに、我が家は市販の素を使わず、具は母上手作りです。
酢飯の酢は、通常の半分の量しか使いません。(酢っぱいのが苦手のため)うまうま。(幸)
しかし、今回もカオスな感じで申し訳なく。
これ、元々は去年のクリスマスにupしたparallelのスフレとスコーン話の続きとして、
『みんなで仲良く鍋食って仲直りして気持ちよく新年迎えようじゃないかパーティー』←長っ!!
をしようと思っていて、(みんなでそれぞれ食べたい鍋を言い合って、最終的にはそれなんて闇鍋?な感じで。)
それがズルズルとずれこんで、でも何だかそのネタは捨てがたくて(この人にはこの鍋!!な感じで結構真剣に考えていたので)、くっつけたら、結果的にはすっかり季節外れなネタになってしまいました…。すみません…。
思い返せば、きちんと鍋ネタを書いたのはOさまにいきなり送りつけた鍋95だけだった…。(ちょうどそのネタを考えていた時期で、ここぞとばかりに湯豆腐@センセイの鞄仕様話をウキウキと書いて送ったという。←馬鹿め)
以下、タグ打ちする気力が本日もうなくなったので、このぐらいならここに置いてもいいでしょうか?な市赤市小噺です。(長さ的には全然小噺じゃねぇ…。)
そして、宿題の『乱れヒョーゴ』なんですが、これってお相手はキュウ限定でしたでしょうか。何だかボを相手に暗ーーーーい(でも自分的には珍しく幸せな)話が思い浮かんでしまい(しかもエロでもない)、ちょっとどなたか再度宿題の主旨を教えていただけませんか状態です。強いて言うなら9←ボ&ヒョ?なんですが。(笑)
ちなみに、我が家は市販の素を使わず、具は母上手作りです。
酢飯の酢は、通常の半分の量しか使いません。(酢っぱいのが苦手のため)うまうま。(幸)
しかし、今回もカオスな感じで申し訳なく。
これ、元々は去年のクリスマスにupしたparallelのスフレとスコーン話の続きとして、
『みんなで仲良く鍋食って仲直りして気持ちよく新年迎えようじゃないかパーティー』←長っ!!
をしようと思っていて、(みんなでそれぞれ食べたい鍋を言い合って、最終的にはそれなんて闇鍋?な感じで。)
それがズルズルとずれこんで、でも何だかそのネタは捨てがたくて(この人にはこの鍋!!な感じで結構真剣に考えていたので)、くっつけたら、結果的にはすっかり季節外れなネタになってしまいました…。すみません…。
思い返せば、きちんと鍋ネタを書いたのはOさまにいきなり送りつけた鍋95だけだった…。(ちょうどそのネタを考えていた時期で、ここぞとばかりに湯豆腐@センセイの鞄仕様話をウキウキと書いて送ったという。←馬鹿め)
以下、タグ打ちする気力が本日もうなくなったので、このぐらいならここに置いてもいいでしょうか?な市赤市小噺です。(長さ的には全然小噺じゃねぇ…。)
そして、宿題の『乱れヒョーゴ』なんですが、これってお相手はキュウ限定でしたでしょうか。何だかボを相手に暗ーーーーい(でも自分的には珍しく幸せな)話が思い浮かんでしまい(しかもエロでもない)、ちょっとどなたか再度宿題の主旨を教えていただけませんか状態です。強いて言うなら9←ボ&ヒョ?なんですが。(笑)
甘い糸
この人は、こんな声も出せるのか。
こんな風に笑うことも出来るのか。
それは、ちょっとした発見だった。
いつものように、縁側から上がりこんで市川さん、と声をかける。
その声は、普段と同じのつもりだった。だが、新たな来訪者を迎える形となった市川は、そのいつもの黒い眼鏡越しにチラッと赤木に視線を送ると、静かに、だがよく通る声で呟いた。
「何だ、今日は随分とご機嫌斜めだな。」
そう言って低く笑う声に、そうかな?と赤木は軽く首を傾けて答える。そんな赤木に、赤木よ、と市川が手を差しのべる。
だが、赤木は動かない。縫い付けられたように、畳の上に立ったままでいる。一向に近づく気配のない赤木に市川はまぁいい、と言って上げたその手を下ろした。白い手だ。そして、美しい手だ。あの手が、己の肌の上を躊躇なく辿るさまを想像し、赤木は知らず小さく喉を鳴らしていた。
市川はもう赤木に構わず、角ばったテーブルの上に置かれた湯飲みを持ち上げている。
よく見ると、そのテーブルの上には、手付かずの最中が載っていた。
「…それ何。」
「うん?」
「その最中。」
赤木の言葉に、ああ、と市川は小さく呟く。今日は客が来ていたからな。それようの茶請けだ。俺の時にはそんなもの用意してくれないじゃない。赤木の言葉に市川は大袈裟な渋面をしてみせた。
「テメェが客だと?客は客でも招かれざる客だろうが。」
そんな客に用意してやるものかね。
そう言って、市川はクツクツと笑うと、台所の方を顎でしゃくる。
まだ向こうにもあるから、食いたきゃ勝手に食いな。ついでに、茶を入れてこい。そう言って、すっかり空になった湯飲みを赤木に示す。ようやく、赤木は一歩踏み出す。ひどいな、という言葉と共に。
「人使いが荒いんじゃないの。」
だが、そう言いつつ赤木は素直に市川の前から湯飲みを取り上げる。
足元には、普段出ていない座布団。いつもより念入りに掃除された部屋。
この家に来る直前、見かけた黒塗りの車。
そして、あの女中。
女中は、角に立つ赤木を見て、一瞬、驚いた顔をしたが、すぐにまた元の無表情に戻り、赤木の前を通りすぎた。
そこには、何もいなかった、とでもいうように。いつも通りと思われる速度で。
ただ、市川が渡していた赤い小さな巾着を、胸元で強く抱きしめて。
赤木が奪うとでも思ったのだろうか。
思わず、赤木の左の口角があがる。
台所には、真新しい包装紙に包まれた最中が置いてある。そして、そのわきには、何やら薄桃色やら抹茶色、白く色づけられた細かなものが、小さな透明な袋に入って置いてあった。
茶筒の中には、同じく真新しい茶葉がたっぷりと入り、急須も先ほどまで使われていたと思われる来客用と思われる湯飲みも、綺麗に洗われ籠に伏せられていた。
はい、熱いから気をつけてと湯飲みを市川の前に置く。市川の右隣に座りふぅ、と息を吹きかけて少量口に含む。苦い。いつものように茶葉を入れたら、何だかやけに濃い味になってしまった。
市川は、黙って湯飲みを見つめている。ゆらりとあがる湯気を見ているかのようでもある。
やがて、市川が手を伸ばしたところで、赤木はその手を取った。市川の眉が微かに顰められる。
「市川さん。」
「…。」
「客って、あいつらのことでしょ?」
「あいつら…?」
「あのヤクザ。」
「何だ、見ていたのか?」
「ここに来る途中で見かけたからさ。あんな車乗っているのなんてあいつらくらいだろ。すぐわかる。」
「テメェは気付かれなかったのか。」
「生憎、ね。」
ふふん、と笑う赤木に市川は捕らえられた手で赤木の頬を触る。赤木もそれを拒絶することはない。いつものように、目を細めてその手を受けるのみだ。
「なんだ、見つかって捕らえられちまえばよかったものを。」
そうすりゃこの家も静かになるってもんだ、と市川が皮肉をこめて言う。
組の連中が、この鬼の子を探し回っているのは周知の事実だ。こんなに目立つ―――らしいナリをしていて、そしてこんなに頻繁に市川の住まいを訪れているのに、どうして誰も気付かないのだろうと不思議でしょうがない。
だが、だからと言って、市川は組の連中にわざわざ告げたりはしない。
こいつが、姿をくらましているからこその、この今の暮らしだというのも勿論ある。
赤木はそんな皮肉なんて何でもないというようにあれは、何を渡したの?と静かに訊ねる。
「あれ?」
「ここに来ている女中にさ。玄関で赤い巾着を渡していたろ、市川さん。」
「何だ、それも見ていたのか?」
油断も隙もねぇ餓鬼だな、と市川が笑う。そして、さらりと赤木の頬を撫でる。
「何、たいしたもんじゃねぇ。世話になっているからほんの礼だよ。」
「礼って?」
何だ、随分気にかけるなと言いつつ、市川は湯飲みと共に赤木が持ってきた例の菓子が入った袋を遊んでいる手で持ち上げた。勝手に持ってきていたのをちゃんと気付いていたらしい。
「これを渡したまでさ。」
今日は世間では雛祭りだからな。
そう市川が言えば、市川の手を頬にあてたままで赤木は軽く首をひねる。
「それ、何?」
「…お前、雛あられも知らんのかい?」
「雛あられ?」
ふーん、それがそうなんだ、と言う声に市川は今度ははっきりと眉を寄せた。
だが、赤木はそんな市川に食べてみていい?と言うや否や、市川の手からそれをひょいと取り上げ、封を開ける。途端、甘い匂いが鼻腔をくすぐる。手を入れればカサリと袋の中で小さく音がなる。少し掴んで口に放り込めば、じわりと甘みが広がる。軽く噛めばシャクシャクと砕ける音が立つ。
「…そんな美味いもんでもないね。」
おまけに、腹は膨れなそうだしと赤木が言えば、市川は見えない目を眇めてクツクツと笑った。
「だから、腹が減っているならそっちの最中を食えばよかろう。」
「これ、両方市川さんが買ってきたの?」
「ああ。」
「本当に?」
赤木の言葉に市川は軽く赤木の頬をつねった。
「……いっ、」
「たまには買い物に出たりもするさ。」
市川の言葉に、赤木は何か言いたそうに口を開き―――だが、結局出てきたのは次の一言だった。
「食べさせてあげようか。」
そう言って、雛あられを指先で幾つか掴み、市川の口元へと運ぶ。
「口開けてよ、市川さん。」
「…いらねぇ。」
「市川さんが買ってきたんでしょ。」
「自分のために買ってきたんじゃねぇからな。」
別に食わなくていいのさ、というと赤木の手を口元からどけようとする。だが、赤木は尚も市川に迫る。
仕方無しに口を開けた市川に、赤木はそっと雛あられを口に含ませる。零さないように、と奥まで指を入れれば、そのまま市川の固い歯が己の指を挟む。痛いほど噛まれて、ようやく解放される。赤木は市川の噛み跡を見ながらひどいな、と笑う。市川も笑う。
「無理やり食わそうとするからだ。」
そんな市川の言葉に、赤木は黙って市川の手に雛あられを持たせる。
「おい?」
「俺にも食べさせてよ。」
「…何で儂が。」
「俺が食べさせたんだから、今度は市川さんが食べさせてくれる番でしょ?」
「…。」
「それでこそ、この場は丸く収まるってもんじゃないの。」
初めて会った時と、同じことを言って赤木はククク、と笑った。
噛まれる、とわかっていて指を差し出す馬鹿がどこにいると言いたかったが、市川は黙って赤木の口元に雛あられを持った己の指を運ぶ。
わざと、奥まで指を入れてやれば、赤木はにやりと笑い、市川の指に軽く歯を立てた。だが、それも最初だけで、あとは丹念に舐りだす。
ピチャピチャと音を立てて指に吸い付く赤木に、誰が指をしゃぶれと言ったよと市川は呆れた声を出せば、口に含んだままで噛んだ方が良かった?と赤木はいけしゃあしゃあと言い返す。
市川は、ふぅ、と息を一つ吐くとずる、と指を引き抜く。甘い蜜の糸を垂らす己の指を目前に迫った赤木の頬にぐい、と擦り付けるように動かせば、今日何度目かのひどいな、という言葉を呟いて、赤木は上機嫌に笑ったのだった。
終
この人は、こんな声も出せるのか。
こんな風に笑うことも出来るのか。
それは、ちょっとした発見だった。
いつものように、縁側から上がりこんで市川さん、と声をかける。
その声は、普段と同じのつもりだった。だが、新たな来訪者を迎える形となった市川は、そのいつもの黒い眼鏡越しにチラッと赤木に視線を送ると、静かに、だがよく通る声で呟いた。
「何だ、今日は随分とご機嫌斜めだな。」
そう言って低く笑う声に、そうかな?と赤木は軽く首を傾けて答える。そんな赤木に、赤木よ、と市川が手を差しのべる。
だが、赤木は動かない。縫い付けられたように、畳の上に立ったままでいる。一向に近づく気配のない赤木に市川はまぁいい、と言って上げたその手を下ろした。白い手だ。そして、美しい手だ。あの手が、己の肌の上を躊躇なく辿るさまを想像し、赤木は知らず小さく喉を鳴らしていた。
市川はもう赤木に構わず、角ばったテーブルの上に置かれた湯飲みを持ち上げている。
よく見ると、そのテーブルの上には、手付かずの最中が載っていた。
「…それ何。」
「うん?」
「その最中。」
赤木の言葉に、ああ、と市川は小さく呟く。今日は客が来ていたからな。それようの茶請けだ。俺の時にはそんなもの用意してくれないじゃない。赤木の言葉に市川は大袈裟な渋面をしてみせた。
「テメェが客だと?客は客でも招かれざる客だろうが。」
そんな客に用意してやるものかね。
そう言って、市川はクツクツと笑うと、台所の方を顎でしゃくる。
まだ向こうにもあるから、食いたきゃ勝手に食いな。ついでに、茶を入れてこい。そう言って、すっかり空になった湯飲みを赤木に示す。ようやく、赤木は一歩踏み出す。ひどいな、という言葉と共に。
「人使いが荒いんじゃないの。」
だが、そう言いつつ赤木は素直に市川の前から湯飲みを取り上げる。
足元には、普段出ていない座布団。いつもより念入りに掃除された部屋。
この家に来る直前、見かけた黒塗りの車。
そして、あの女中。
女中は、角に立つ赤木を見て、一瞬、驚いた顔をしたが、すぐにまた元の無表情に戻り、赤木の前を通りすぎた。
そこには、何もいなかった、とでもいうように。いつも通りと思われる速度で。
ただ、市川が渡していた赤い小さな巾着を、胸元で強く抱きしめて。
赤木が奪うとでも思ったのだろうか。
思わず、赤木の左の口角があがる。
台所には、真新しい包装紙に包まれた最中が置いてある。そして、そのわきには、何やら薄桃色やら抹茶色、白く色づけられた細かなものが、小さな透明な袋に入って置いてあった。
茶筒の中には、同じく真新しい茶葉がたっぷりと入り、急須も先ほどまで使われていたと思われる来客用と思われる湯飲みも、綺麗に洗われ籠に伏せられていた。
はい、熱いから気をつけてと湯飲みを市川の前に置く。市川の右隣に座りふぅ、と息を吹きかけて少量口に含む。苦い。いつものように茶葉を入れたら、何だかやけに濃い味になってしまった。
市川は、黙って湯飲みを見つめている。ゆらりとあがる湯気を見ているかのようでもある。
やがて、市川が手を伸ばしたところで、赤木はその手を取った。市川の眉が微かに顰められる。
「市川さん。」
「…。」
「客って、あいつらのことでしょ?」
「あいつら…?」
「あのヤクザ。」
「何だ、見ていたのか?」
「ここに来る途中で見かけたからさ。あんな車乗っているのなんてあいつらくらいだろ。すぐわかる。」
「テメェは気付かれなかったのか。」
「生憎、ね。」
ふふん、と笑う赤木に市川は捕らえられた手で赤木の頬を触る。赤木もそれを拒絶することはない。いつものように、目を細めてその手を受けるのみだ。
「なんだ、見つかって捕らえられちまえばよかったものを。」
そうすりゃこの家も静かになるってもんだ、と市川が皮肉をこめて言う。
組の連中が、この鬼の子を探し回っているのは周知の事実だ。こんなに目立つ―――らしいナリをしていて、そしてこんなに頻繁に市川の住まいを訪れているのに、どうして誰も気付かないのだろうと不思議でしょうがない。
だが、だからと言って、市川は組の連中にわざわざ告げたりはしない。
こいつが、姿をくらましているからこその、この今の暮らしだというのも勿論ある。
赤木はそんな皮肉なんて何でもないというようにあれは、何を渡したの?と静かに訊ねる。
「あれ?」
「ここに来ている女中にさ。玄関で赤い巾着を渡していたろ、市川さん。」
「何だ、それも見ていたのか?」
油断も隙もねぇ餓鬼だな、と市川が笑う。そして、さらりと赤木の頬を撫でる。
「何、たいしたもんじゃねぇ。世話になっているからほんの礼だよ。」
「礼って?」
何だ、随分気にかけるなと言いつつ、市川は湯飲みと共に赤木が持ってきた例の菓子が入った袋を遊んでいる手で持ち上げた。勝手に持ってきていたのをちゃんと気付いていたらしい。
「これを渡したまでさ。」
今日は世間では雛祭りだからな。
そう市川が言えば、市川の手を頬にあてたままで赤木は軽く首をひねる。
「それ、何?」
「…お前、雛あられも知らんのかい?」
「雛あられ?」
ふーん、それがそうなんだ、と言う声に市川は今度ははっきりと眉を寄せた。
だが、赤木はそんな市川に食べてみていい?と言うや否や、市川の手からそれをひょいと取り上げ、封を開ける。途端、甘い匂いが鼻腔をくすぐる。手を入れればカサリと袋の中で小さく音がなる。少し掴んで口に放り込めば、じわりと甘みが広がる。軽く噛めばシャクシャクと砕ける音が立つ。
「…そんな美味いもんでもないね。」
おまけに、腹は膨れなそうだしと赤木が言えば、市川は見えない目を眇めてクツクツと笑った。
「だから、腹が減っているならそっちの最中を食えばよかろう。」
「これ、両方市川さんが買ってきたの?」
「ああ。」
「本当に?」
赤木の言葉に市川は軽く赤木の頬をつねった。
「……いっ、」
「たまには買い物に出たりもするさ。」
市川の言葉に、赤木は何か言いたそうに口を開き―――だが、結局出てきたのは次の一言だった。
「食べさせてあげようか。」
そう言って、雛あられを指先で幾つか掴み、市川の口元へと運ぶ。
「口開けてよ、市川さん。」
「…いらねぇ。」
「市川さんが買ってきたんでしょ。」
「自分のために買ってきたんじゃねぇからな。」
別に食わなくていいのさ、というと赤木の手を口元からどけようとする。だが、赤木は尚も市川に迫る。
仕方無しに口を開けた市川に、赤木はそっと雛あられを口に含ませる。零さないように、と奥まで指を入れれば、そのまま市川の固い歯が己の指を挟む。痛いほど噛まれて、ようやく解放される。赤木は市川の噛み跡を見ながらひどいな、と笑う。市川も笑う。
「無理やり食わそうとするからだ。」
そんな市川の言葉に、赤木は黙って市川の手に雛あられを持たせる。
「おい?」
「俺にも食べさせてよ。」
「…何で儂が。」
「俺が食べさせたんだから、今度は市川さんが食べさせてくれる番でしょ?」
「…。」
「それでこそ、この場は丸く収まるってもんじゃないの。」
初めて会った時と、同じことを言って赤木はククク、と笑った。
噛まれる、とわかっていて指を差し出す馬鹿がどこにいると言いたかったが、市川は黙って赤木の口元に雛あられを持った己の指を運ぶ。
わざと、奥まで指を入れてやれば、赤木はにやりと笑い、市川の指に軽く歯を立てた。だが、それも最初だけで、あとは丹念に舐りだす。
ピチャピチャと音を立てて指に吸い付く赤木に、誰が指をしゃぶれと言ったよと市川は呆れた声を出せば、口に含んだままで噛んだ方が良かった?と赤木はいけしゃあしゃあと言い返す。
市川は、ふぅ、と息を一つ吐くとずる、と指を引き抜く。甘い蜜の糸を垂らす己の指を目前に迫った赤木の頬にぐい、と擦り付けるように動かせば、今日何度目かのひどいな、という言葉を呟いて、赤木は上機嫌に笑ったのだった。
終
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